苦役列車で芥川賞受賞したのをみてから、同著者の本を読んでみたいな―と思いつつ、伸ばし伸ばし。
Kindle Unlimitedで読めるのがあったので本書を手に取りました。
私小説と呼ばれており、どこまで自身の体験を下敷きにしているのかわからないけど、エンターテイメントとしてなかなか読ませるものがある。
こんな男と関わったら本当最悪だな、、、て思える主人公。
実際心の内ではそんな事考えているのかと。
色んなシーンから、人間100%の善人、100%の悪人てのはそうそう居ないんだなと。
主人公の寛多も、身勝手な理屈で人を利用するし、それを諫められれば人のせいにして憤る。
環境のせいでこんなに屈折してしまった部分もあるだろうし、かといって優しさと、良い環境を周囲が与えても、それを易々と身勝手に利用して消費してしまう。
でも、どっこい彼女を作ってみたり、酒、タバコ、女の放蕩三昧でたくましく生きている、関わる人間は迷惑千万だけど人生の使い方としてはなんだろう、、、たくましい、図太い、ふてぶてしいとしか言いようがない。
遂には、そんな経験もしっかりマネタイズして芥川賞作家先生とまで呼ばれてしまっているし。
本当、、、うーん、、たくましい。
留置所にぶち込まれるシーン。
ここでも警察の怖さをたっぷり描く。
公務執行妨害 略して 公執 は警察にとっては絶対許さない犯罪なんですね。
刑務所を出ては入りしている同じ留置所の房の人に、公執はお前必ず実刑になるから絶対認めるな!てアドバイスもらってるのがリアルな怖さあるね。
そんなライフハックも小説から学べましたね。
お巡りさんに掴まれたら慌てず騒がずおとなしくお縄打たれるのが無難ですね。
酔っぱらって暴れて駆け付けたお巡りさんにマッポが誰に口きいてんだと騒いだら、散々留置された起訴、拘置、実刑ですね。こわいこわい、、、
気を付けて下さいね。
ラストの、銭湯の腋臭男と、20年後の自分の体験と重ねる仕組みも秀逸です。
Kindle Unlimited で読めます。