
僕たちの親世代が大好きな小説家のエッセイ。
いい内容と悪い内容が入り混じる。
ポジティブシンキングは確かに大事かも知れないけど、ネガティブシンキングも大事だよの話は良かった。
なにが起こってもポジティブに考えると、免疫細胞も活性化するし前に進める。
そういうのが良いとされる風潮がある。
先生はその意見に反発したい。
子供が人を殺めてしまって服役したとか、子供が不幸な無くなり方をしたとか、それを自分にとってプラスの試練だった、ありがたい、前を向いて生きていこうって思いなさいと言うのは残酷じゃないのかって話。
弱っている人に接する態度としては、励ます、慰めるしかない。
励ますは、くよくよしても始まらないよ、頑張れ!という態度。
慰めるは、言葉もなく手を握り一緒に涙するような態度。
ポジティブシンキングは元気だしていこうぜ!というのを強いるようで好きじゃないみたいな意見。
こういう視点は流石先生いい事言うなと思いました。
あと、植物の根の話も面白かった。
生物学者のディットマーさんの実験の話。
30cm 四方の木箱でライ麦を育てる実験。
当然小さな土でひょろひょろのライ麦しか育たない。
でも、数か月して掘り起こしてみると、顕微鏡でみないとわからない根毛とかも合わせて根っこの長さを調べてみると、総延長が11,200kmもあったって話。
←本当?!
やせ細った植物でも土の下では生き延びるのに物凄い努力をしている。
人間も、どんなに弱った人間も、所属コミュニティーや関わる人がその人が生きるのに見えないところで尽力しているし、本人も目に見えない努力を細胞レベルで努力している。
免疫細胞が病原菌から身を守ったり。
だから人間は生き延びているて言うだけでめちゃくちゃ立派って話は良かった。
勇気をもらいますね。
生まれてきたからには何かを成し遂げないといけないような気になるし、成功する人の~とか、仕事ができる人の~ とか、生き方としてはそういうのを目指した方がいい。
それが、自分なりの話でも、自分なりの追及をすべきだ観たいなのは言われがちですよね。
何者にもなれていない、何事も成し遂げられていないという感覚になって落ち込む事は誰にでもあるけれど、そんな時にはこの話を思い出してみたいと思います。
反面、こりゃだめだなというところは健康に関する氏の考え。
科学的な治療がすべてではない、僕は僕の健康法を実践するし、レントゲンなど非自然的なものは拒否するみたいな内容。
自分が思うように自分の意志で健康管理するのが大事じゃないかというご意見。
意見は間違っていないと思う。
先生が一人でやる分にはいいけれど、先生ほど影響ある人がこれ書いちゃうのはどうなんでしょう。
それで死ぬ人がいるって事に自覚があるのかなと思いました。
先生にその責任までは問いませんけど、少なくともそれで医療を拒否して死んじゃう人もいるだろうなという想像をしながら書いていて欲しいですね。
知り合いの知り合いぐらいの遠いママの話。
自然分娩にこだわってしまい、緊急処置も最後まで拒否して赤ちゃんが酸欠になってしまい生涯脳性麻痺を抱える事になってしまった話。
自然派ママの考えが、子供の人生にまで大きな影響を及ぼしてしまった例です。
健康や医療というテーマはなかなか難しいですよね。
もう一つ嫌いな所は、時代が進むにつれ、人情など大事なものが失われて行っているという意見を言いがちな所です。
昔はもっと人のぬくもりがあったみたいな。
サカキバラ事件とかを持ち出して、こんな痛ましい事が起こる世の中になってきたとか。
統計で言えば、凶悪犯罪などは時代が新しくなるにつれ激減しているんですけどね。
先生は、統計とか科学は嫌いみたいな事いってますからね、、、
本を通して、先生の中に恐らく体制への不信が根強くあるのではないかなと思いました。
人から指図されるのも物凄く嫌いそう。
愛国少年だったのが、終戦時に酷い目にあわされた原体験の影響強そうですね。
科学、医学、国の教育、世間の常識、大衆の意見。
こういうものへの強い反発を感じる文章でした。
読んでいてすごく癒される部分もある本でした。
上の世代に人気なのも解かる気がします。
ただ、ファクトよりお気持ちで語るところがあるように感じてしまうので、僕としては話半分です。
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