物語、小説としては滅茶苦茶おもしろい!
しかもストーリーの下敷きになっているのは、出光興産の創業者、出光佐三の実話。
どこまで史実で脚色なのかはわからないけれど大筋の所は関係者のインタビューや資料集めて書いた本当の事なんでしょうね。
目先の利益にとらわれず、理想を追い続け、人に親切に努力し続けると、神の力とも思えるような奇跡の出会いが窮地を救ったり、ピンチをチャンスに変えたりと読んでて読者を飽きさせません。
経営もののサクセスストーリーの王道ですね。
上巻の、すべてを失った戦後から石油業復帰までのストーリー、創業から戦争までのストーリー(話を彩る為に時系列は倒置してある)も見事で読ませるけど、下巻のイランとの世界初の石油取引に成功するハイライトは圧巻ですね。
今も名残はあるののかも知れないですけど、かつては石油メジャーやCIA、ソ連などの黒い力が暗躍しており、アンフェアな世界で覆われていたんですね。
そういう環境の中、会社の利益よりも日本人の利益になる事はなにかを最後まで貫いて決断して実行する男たちの話は本当に胸アツです。
現実の世界も、出光佐三がいなければ、石油メジャーに経済を握られたままの世界観でもっと時代が続いたのかも知れませんね。
凄い。
ただ、下巻の精油工場を2年半以上の工期を、国岡店主の頑固な主張で10ヶ月の工期で終わらせたことが美談のように描写されいてるのは危うさも感じた。
日本人が失ってしまった情熱の力を読者に呼び起こす意図があるんでしょうけど。
ブラック労働の下敷きになる思想ですよね。
先の戦争も経済発展も、日本人のこの粘り強さと真面目さが躍進をもたらして、そして衰退や敗北の原因になっているのも同じ力なんだと思います。
小説の中では、躍進期はうまく書けても、成熟期の企業や組織や団体はこうあったらいいみたいなお手本は示せませんでした。
大きくなって怠慢的になってしまう所を、初心忘れるべからずでベンチャー精神を取り戻させるところで物語が終わってます。
成熟期の会社の在り方としてはあまり面白い話はない。
凄く面白い話だし、先人にはリスペクトを感じるけど、僕たち世代は、これはこれとして違うやり方を模索してゆかないとダメなんだろうなという事を感じました。
素晴らしい名経営者であり名誉日本人である出光佐三ですけど、Wikipediaにはこんな一面もあったようです。
- 小学校の頃から神経症と眼病を患い、読書により自分の頭で考え抜く習慣を身につける。
- 皇室を極めて篤く崇敬したので死去した際に昭和天皇が「出光佐三逝く 三月七日 国のため ひとよつらぬき 尽くしたる きみまた去りぬ さびしと思ふ」と詠んだ
- 出光興産一社提供の『題名のない音楽会』であるが、通常30分番組は15分程度で中途にCMが入るところを、佐三の「芸術に中断は無い」との考えに基づき、最初と最後の提供コール前後しかCMは入らず、本編は通しで放送される構成となっている。
- 2011年6月20日の出光創業100周年記念日には「日本人にかえれ」の名言の新聞広告が全国紙と一部の地方紙に掲載された。
- 娘・真子は「父・佐三は徹底した儒教的・家父長的男女観を抱いていて妻と娘4人を「女こども」として軽蔑し、その自立を否定し人格的に抑圧した」と述べている。
題名のない音楽界の話は凄いなと思いますが、良い父だったのかはわからないです。
九州出身という土地柄も人格形成に影響しているかも知れません。
アルテイシアさんも、社長は素晴らしい人でした、、、と元部下が葬儀で涙を流して死を惜しむような人格者だったけど、家ではクソofクソだった父親の事を綴ってます。
家の祖父も似たようなところがあったと聞いてますね。
おじいさんはいい人だったとたまに言われる事があるんですけど、おばあちゃんは祖父のクソっぷりを生涯憎んでましたからね。
人は多面性を持っているのが普通ですね。
やはり光あれば陰。
美しくない見方もある。
※事実かは解りません。
タイムカードもない、定年は自分で決めるという社風も危うさをまとう。
上巻を読むと、なぜ、海賊とよばれたのかが判明します。
映画もあるんですね。観てみたい。
こちらも岡田君主演なんですね。永遠の0に引き続きですね。
永遠の0も読ませる小説です。
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