読み物として凄く面白かった!
COVID-19のワクチンや特効薬ができることに希望が持てるのか?
そんなことのヒントになりそうです。
良かったのはこの本を読む前にこちらの本を読んでいたこと。
これらを合わせると、この時代の日本人に生まれたのは、それだけでスーパーラッキーな人間という事。
今みたいな医学が受けれるようになったのは実質100年ぐらいしかない。
それまでの医学は宗教やおまじないが主流。科学的なアプローチも4体液学説というのが主流で、それに沿って、病原を汗で出すとか、身体を冷やして病気を鎮めるとかそういうアプローチ(現代科学からみたら間違っている)
つい、100年前までの薬とは、ほぼ中身が阿片かアルコールだった。
病気を治療する効果は全くないけれど、苦痛を和らげる効果はあった。
1930年代から1960年代の30年間で、薬の技術革命が起きて、今のような医療体制がつくられてる。
そして、巨大製薬会社が生まれ、産業としての医療が台頭してきてその歴史にも触れている。
特におもしろかったところ何点か
- かつて、治療効果のある薬というものは無かった。
- イスラムの経験則から世界に広まった人痘接種(ググって)。ワクチンや予防接種の元になり、人類の長い天然痘の災厄を撲滅させるきっかけになった。
- 産業としての医療の歴史を物語るサルファ剤のエピソード。革命的な薬というのは、意図して開発されたものよりも、偶然に発見されたものが多い。製薬会社の事業というのは、巨額の開発費をつぎ込み続け、一発ホームランですべてを取り戻すという産業構造になる。野球に例えると200kmhの速球をホームランにするような話で、狙ってホームランが出たことは殆どない。振ったバットにたまたま球が当たったようなもの。
- 効果的な避妊をしてセックスできるようになったのはごくごく最近。それまで、妊娠の仕組みは謎のベールに包まれていた。
- 男性の勃起という現象のメカニズムも長らく謎だった。EDの治療はバイアグラ以前は空気ポンプで勃起させたりとかメカを使った疑似的な手段だった。そして、バイアグラの大ヒットのエピソードから、巨大製薬企業がどういう薬の開発を望んでいるのかを説明している。具体的には、リピートされて使われて、人口の多いお年寄りに好まれるもの。治療しつくして病気が根絶されるような事態は製薬会社にとっては望ましくない。
- コレステロールを抑える薬、スタチン。巨大製薬企業は、まさにこういう薬を望んでいる。スタチンの原型は日本人によりつくられた。製薬会社のロビー活動、営業活動により、病気とは言えないような事も、リスクとして宣伝されて、大衆はそのリスクを解消するために薬を買い続けている。
- モノクロナール抗体の開発物語は、バイオテクノロジー時代の到来を示している。善意の研究者のオープンな開発と、それを横取りした製薬会社のエピソード。そういう製薬会社の横暴も、だんだん皆が気が付き批判が集まっている。それに対抗しうる、オープンソース、オープンデーター、クラウドによる次世代の開発手法が芽吹き始めている。
人類と薬の関係の歴史を学べる。
製薬、医療産業というのがどのようにして成り立っているのか、そして、その構造的な問題点にも気づきをくれる。
製薬会社の批判本ではない。
製薬会社を批判するのは簡単だけれど、やはり代案がいるんですよね。
それが今後は、マイクロチップ埋め込みとか、オープンデーター、オープンソース、クラウド開発という新しい手法が次の新しい医学革命を作ると考えられていて、自然淘汰で製薬会社の独占は終焉を迎えるかも知れない。
人類が克服したい、ガン、糖尿病、アルツハイマー。
僕が生きている間に克服されるだろうか。
そして、今、人類が直面しているCOVID-19危機。
この本を読んで、やはりワクチンや、特効薬に過度な期待をするのは無理筋なのかもしれないと思いました。
歴史をみると、薬って、目標もって開発しても、なかなかそのようにうまくいった試しがないんですね。
別の研究をしていたら、偶然、この副作用はこれに応用できるんじゃ!?ていう閃きから生まれたブレークスルーが多い。
なので、COVID-19撲滅には、ワクチンや特効薬には期待しないで、衛生と防疫という2つの手法で戦ってゆく正攻法を考えた方がいいですね。
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