古いヨーロッパ文化に造詣が深い、中野京子さんによる、とある中学校で行われた、シンデレラを題材にした特別授業の書籍化。
面白い授業でした!
シンデレラは民間伝承の童話で、世界各地に数え切れないほど類似の話が存在するのですが、書籍化されて有名になったのは以下の2つ。
フランスの シャルル・ペロー の著した童話集にある「サンドリヨン(仏: Cendrillon)」
もう一つは、ドイツのグリム兄弟が著した「シンデレラ」
ペロー版シンデレラは、舞踏会や服装の様子など、バロック時代のフランスの影響が色濃い。
グリム版シンデレラは勧善懲悪のような復讐劇になっていて、ペロー版よりもグロテスク。
そして、世界で一番有名なシンデレラはディズニー版でしょう。
このディズニー版は、ペローのシンデレラを下敷きにしている。
ディズニー版のシンデレラはちょっと庶民的なところもあり、そこはアメリカンな味付けになっているとのこと。
ペロ―版も、グリム版も、意地悪な姉たちは美しい容姿で心は醜いのだけど、ディズニー版では容姿も醜く描かれている。
ペロー、グリムのシンデレラの大きな違いはそのシンデレラの主体性。
ペローのシンデレラは、意地悪に耐えて、健気に過ごしていると不憫に思った妖精たちが、舞踏会へ行けるおぜん立てをしてくれてやがて王子と結ばれる棚ぼたストーリー。
王子さまも、人任せで、召使いにシンデレラを見つけさせる。
シンデレラも王子も受け身な人として描かれている。
グリムのシンデレラは、なんとしても舞踏会へ行くために、継母に何度も懇願して、継母の出す難題をこなしてなんとか参加を勝ち取る。
王子もシンデレラを探す為、自ら出向いて探し回る。
シンデレラも王子も行動的で主体的。
ペロー版は当時のフランス文化の影響が大きい。
女性は出しゃばらず奥ゆかしくしているのが美しい。
人生で一番大事なのは認めて、応援してくれるパトロンの存在(物語のなかでは魔法使い)というメッセージがが込められている。
そして、ペロー版シンデレラは貴族階級の児童へ向けて書かれた童話なので、高貴な女性はかくあるべきという物語になっている。
グリム版は、読み手を大衆としている為、受けの良い勧善懲悪な物語に仕上げられている。
ディズニー版シンデレラが大ヒットして、魅力的なのはこの点ではないだろうかと指摘している。
努力し続けたら願いが叶うよっていう因果の物語よりも、不遇でも健気に生きていれば、いつかラッキーが起こって一発逆転することがあるという物語の方が、人の心を癒す。
他にも、シンデレラ中国起源説とか、色々面白い雑学が知れる。
単純明快な物語だけど、様々な解釈や説がある。
ディズニーが採用したのはペロー版で、現代でも愛され続ける名作になっているのはこの他力性が大きいという分析。
不遇から抜け出したければ努力せよよりも、不遇に健気に耐えていれば天が観ていてラッキーを運んでくれるという話しの方が、民衆の心を掴む。
子供のみならず、大人にも魅力的なストーリー。
大衆に受け入れられるにはインスタント性が高い方が受けるのです。
また、そんな視点でディズニー版のシンデレラを観てみたいですね。
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