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【読書メモ】上級国民/下級国民 橘玲

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上級国民/下級国民(小学館新書)

上級国民/下級国民(小学館新書)

  • 作者:橘玲
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: Kindle
 

刺激的な内容!

なんというか可燃性が高いというか、タイトルからして煽っている。

態と刺激的に書いている部分には賛同しかねるけど、いつものようにデーターをもとにロジカルに説明する書き方は読ませるし説得力ある。

 

ちなみに、池袋の事故の老人の話はほぼ出てこない。

主には、格差社会というのが先進国を中心に全世界的に発生しているのはなぜなのかという論旨。

竹中、小泉改革が悪いわけでもなく、それを操るニューワールドオーダーによる権力者共同謀議のせいでもなく、近代文明の本質を突き詰めると格差社会に向かってゆくことをうまく説明できていると思う。

 

産業革命以降と以前では人類は全く違う世界線を生きている。

弥生人が戦国時代にタイムトラベルしてもちょっとはびっくりするでしょうけど、現代にタイムトラベルしたら違う惑星と言っていいほどのインパクト。

 

面白かったのが、ベーシックインカムが、かつてのマルクス社会主義のような絵空事理想論であることを意外な視点から指摘している。

ネタバレになるから詳しくは書きませんけど、いままで聞いたベーシックインカム否定論の中で一番説得力あるなと思いました。

おそらくグローバル地球政府みたいなものでもできない限りベーシックインカムは無理筋ですね。

 

僕はベーシックインカムはそれを実現するのは政府ではなくて、プラットフォーマーが何らかの形で実現するのかなと予感してます。

プラットフォーマーがより多くの利益を得るために得た富を再分配する仕組みが生まれてくるような気がしてます。

そうなったときに、政府という概念は壊れ、人々はプラットフォームを選択する時代が来るのかもしれません。

 

経済と並んで、もう一つの本の論旨は性愛の格差社会です。

これは前書の延長の話になりますね。

books.richardh.work

藤沢数希氏の 損する結婚、儲かる離婚でも描かれていましたが、経済力を持った男性が女性を独占するために、無モテ男性を作り出しているという世界。

男女比はざっくり1:1ですけど、お金や魅力ある男が2人も3人もパートナーを抱えるためにどうしてもマッチングに偏りができてしまう。

損する結婚 儲かる離婚(新潮新書)

損する結婚 儲かる離婚(新潮新書)

 

 

 なるほど、統計データーだけを見ると確かに 経済力とモテ力は比例していて、金のない男=魅力のない男、故に富(経済)も性愛(セックス)も手に入れられないという相関関係は言えると思いますけど、僕は実感として相関はあるけど因果ではないと感じてます。

 

あと、お金持ち、もしくはイケメンが女性を総取りするから、性愛の分配を非モテ男性が得られないという説明も対立を煽っているし、正しい姿をとらえていないと感じます。

これは恋愛というのが 1:1 or 1:n で成り立っていると前提としているからです。

確かに社会通念は 1:1 時には 男性による 1:n 恋愛として認知されていますけど、実際は1:n恋愛の女性も少なくないのです。

男も女も 1:n 恋愛をおこなっているのであれば、それは n:n 恋愛といえます。

n:n 恋愛においては、数値上は魅力的な女性を独占して非モテ男性が余るということは起こりません。

(現在の実態としては魅力男性が女性を独占しているように見える現象はあるかも知れないですけど、それは魅力男性の独占が原因ではないと思います。)

 

このあたりの書き方が本を盛り上げるために煽っているなと感じました。

プロレス的な演出です。

 

経済については、人種差別をなくそうよという話は人の関心をひくけれど、差別する側として強者の枠に入れられている貧困白人の問題は世間から無視されている。

性愛については、女性差別は許すべきではないと同情をあつめるが、差別する側の強者の男性枠に入れらてしまっているが、本当は女性からも男性からも差別されている非モテ男性は世間から無視されている。

 

このあたりの指摘はなかなか良いと思いました。

女性、LGBT、マイノリティー人種、解りやすい差別はメディアも取り上げやすいですけど、今は無視されている被差別者をケアする方向に向かわないと、今後大きな社会問題になる。

トランプのようなポピュリズムの台頭や、イギリスのEU離脱、性愛で言えば、インセルによる無差別テロは、そういう人々の声を代弁したものだから。

 

非モテ男性については、Twitterでは すもも さんが女性は男性にもっと寛大になろうと頻繁に呼び掛けていますけど、女性からは袋叩き状態だし、男性からも批判的な意見が投げられていますので、彼らに優しい手が差し伸べられる日はまだまだ遠そうだなと感じます。

twitter.com

女性は男性を選ぶ立場でいますけど、選んだあと息子が産まれれば、その息子はやはり選ばれる立場になるわけですから、気持ち悪い男は滅びてほしいみたいな呪詛は息子へのブーメランになりえるので、やはり優しい世界を作っていったほうがいいと思っています。

 

 まとめますと、この本はより良い未来を考える一助になると思います。

ベーシックインカムは今の格差問題を解決する唯一の方法と期待されてましたが、もっと違う形を模索しなければ行けないのかもしれません。

 

上級国民/下級国民(小学館新書)

上級国民/下級国民(小学館新書)

  • 作者:橘玲
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: Kindle
 

 

読書は読むから聴く時代ですよ!

本書も、アレクサアプリを使って隙間時間にながらで読み切りました。

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books.richardh.work

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