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【読書メモ】肉食の思想 鯖田豊之

肉食の思想 鯖田豊之

肉食の思想 鯖田豊

 

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))
 

 ヨーロッパ文化、ヨーロッパ文化を継ぐアメリカ文化を、肉食という視点から考察してゆく試み。

勿論、考察に過ぎないし、その説が正しい事の証明は無理だと思うけど。

この本に指摘されるまで気がつかなかったけど日本人は米を主食としている。
対してヨーロッパ人はパンや芋を主食とするイメージがあったけど、実際には主食、副食と言う区別はない。
ヨーロッパの人たちは、日本人よりもずっと肉でカロリーを補っている。
それは戦争時の食料調達の資料等を調べてみるとわかる。
貴族に限らず平民においても肉食と言うタンパク源で持ってカロリーを補っている。
 
どうやらそれはヨーロッパの土地環境によるところが大きい。
効率だけで言えば、穀物を餌として育てた家畜をたべるよりも、穀物を直接食べたほうがエネルギーロスは少ない。
それでも、その非効率が優先されるのは土地条件。
牧草が自生しやすい土地では、家畜を放し飼いしておけば勝手に育つ。
対して日本は牧草になる植物は生育しない限りは沢山育たない。
そして、日本は稲作可能な降水量であったが、ヨーロッパではそうでなかった。
降水量の事情でヨーロッパの穀物と言えば麦になるのだけど、麦は昔の技術では連作、量産が難しく、肉よりも麦の方が贅沢品だったという背景がある。

こうして、ヨーロッパでは肉が主食となっていった。

 

日本でお米が神からの恵みものという考えになったのと同様、食肉となる家畜は神から恵まれたものという考えが人の意識の中に芽生える。

家畜は殺して食べて当然、食べられるために神に作られたのが家畜なのだからという考えは人間中心的な思想に繋がってゆく。

人間は神の子で、動物は人間の為に働いたり、食べられたりするために神が与えてくれたもの。

キリスト教社会でセックスが後ろめたいものとして戒律かしていった背景には、動物と人間との差別化があるのではないだろうかという。

家畜放牧社会だと、動物が本能のままに交尾する様を日常的に観る。

人間はそんな家畜とは違うというのが思想の根底にあると考察している。

 

そんな肉食の影響で宗教や思想が「人間中心」という世界観で作られてきた。

そして人間は誰かという問題が発生する。

それは立場で異なってくる。

人間=王なのかも知れないし、人間=貴族、人間=商人だったり、あるいは人間=キリスト教徒。

根幹には、自分達コミュニティーに属さない人々を人間とは思わないメンタリティーが生まれ、強い階層社会が発生する。

これが行き過ぎて限界が来た時起こったのが革命だった。

 

革命が起こってから、民主主義思想、マルクス思想などが誕生したけど人々の根っこの意識はそう変わらなかった。

建前として平等は掲げられたけど、実際には根強い階級意識が人々の中に存在し続け意識として縛られ続けた。

それを、日本が近代化の為に思想を輸入した際、それを建前とは思わず優れたヨーロッパの考え方だと愚直に取り入れたので、平民にも公教育を与え、身分にとらわれない実力主義の人事が行われ、それが日本の急成長の原動力になったという物語は面白かった。

 

全てのヨーロッパ思想の土壌は、肉食という食文化がもたらしたものであるという論旨。

この切り口は聴いたことなかったので凄くおもしろく読ませてもらった。

 

勿論、結びつけているだけでそれが正しいとは言えないけれど、ストーリーとしては読み応えある。

 

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))
 

 

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