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【読書メモ】絶望の国の幸福な若者たち 古市憲寿

 

絶望の国の幸福な若者たち 古市憲寿

絶望の国の幸福な若者たち 古市憲寿
絶望の国の幸福な若者たち (講談社+α文庫)
 

 

古市君による若者論。
クラブハウスでの語りで古市君が大好きになった。
そして、この本は本業社会学者として流石本職だねと思わせる内容。
 
まず、言われてはっとした指摘、若者って誰?て話。
高卒の若者なのか、大卒の若者なのか、高収入世帯の若者なのか、貧困層の若者なのか、海外在住経験のある若者なのか、ウェイな若者なのか、オタク界隈の若者なのか。
様々な属性の若者が存在する現代社会では、若者という言葉は解像度が粗すぎる。
 
昔、村落レベルのコミュニティーで、みんなが同じ背景を持つ集団においては、最近の若者はという言説は成立したかもしれない。
敗戦後、多くの若者が貧乏で均一的だった時代も、最近の若者論が成立し得たかもしれない。
 
社会成熟が進み、色んな背景を持った若年層が増えると、最近の若者とグルーピングするのは本来無理がある。
ところが、最近の若者論は、それを振りかざす人の思惑で道具として使われている。
例えば若者の車離れ。若年世代の新車販売台数落ち込みは若年世代人口の減少が主原因だけど、広告会社や営業担当者が顧客や上司へ説明する際、若者の趣向が変わっているからで、若者に興味を持ってもらうにはこう言うプランをといった具合に若者論を持ち出す事がある。
若者人口が減っているから仕方ないねでは済まないから。
また、最近の若者はと言う事で、時代感覚と自分の意識がずれが出てしまった中年がプライドを損ねず現象を受け止めるのに便利。
若者に悪者になってもらう事で自分が時代に置いて行かれている事実から目を背けれる。
人口動態から若年層は今後、経済的に割食う環境に置かれてゆくことは間違いないのだけど、若者が不幸になるかは別の話。
今の若者は日本史上物質的には1番恵まれている。
あらゆるものが昔よりも遥かに安価に買える。
そして、お金なくても仲間と一緒にキャンプ行ったりレジャーできていれば、つまり承認欲求が満たされる環境さえあれば幸せを感じられる。
正規、非正規雇用の話もバブル期のサラリーマンが肯定的に描かれていたのか、正規雇用すれば幸せになるて話が懐疑的。
懐古するときは、バブルの頃の若者は良かったよって語られがちだけど、当時のマスコミの記事を読むとそんな雰囲気ではない。
今でいうところの社畜に幸せはあるのかみたいな言説が多い。
 
若者と高齢者が対立軸の様に語られがちだけど、日本は企業福祉ともう一つ、家庭内福祉が充実している傾向があるという。
成人しても親と同居していたり、結婚後もなにかと親から補助してもらったりなど。
これからの人口動態をみれば、年金受給を減らして働けるところまで働くという改革が必須なのだけど、年金受給を減らすと困るのは高齢者だけとは限らない。
親の年金をあてに暮らしている人もたちまち困るので、そういう政策にシフトする力は一枚岩では生まれにくい。
 
 
勿論経済は大事なんでしょうけど、稼ぐ力があることと、幸せなことは違うという事がこれからもっともっと強くみんなが認識してゆく時代になるのかなと。
豊かさというのが自分のつくった家族がいてその中で幸せだったり、友達がいる、恋人がいる、仲間がいるとか、そういう事と幸福度は相関関係がありそう。
経済性では恵まれていないけど繋がりを感じている人は幸せと感じやすいが、友達もいない恋人もいないみたいな人には結構きつい社会なのかも知れない。
だから、政策的には非正規労働を是正して正社員にしようとか、若者の税負担を減らすため対策しようというのは必要ではあるんだろうけど、それで人は幸せにはならない。
そういう、疎外感を得て社会から分断された人が結集するとオウム真理教事件全共闘のような事が起こったりするのだろうなと本を読んで感じました。
 
なので、若者のセーフティーネットをどうするのかという政策を検討するときは、仕事やお金をどうするかだけでなく、承認欲求をどう満たせるかに着目するとより良い答えにたどり着けそう。

 

絶望の国の幸福な若者たち (講談社+α文庫)
 

 

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