脳科学者、中野信子先生と経営コンサルタントの鳥山正博さんの共著。
中野さんの書いた部分は同著者の他の書籍と重複が多いかな。
前半は、人間の脳は他社の意図に簡単に誘導されやすい。
沢山の情報を処理しなければいけないので、なるべく考えずにさぼりたがるという特性がある事。
そして、悪徳商法はそういう脳の仕組みを利用してどんな手法が用意されているかの事例説明。
後半は、マーケティングの歴史や課題。
マーケティング理論という科学が、特定のポジションの人達の都合を中心に発展してきたので、実態と乖離している部分があるというのが面白かったかな。
自動車会社、生活用品、ヘルスケア会社などの製造業大企業の資金提供で研究開発されてきた。
そのため、小売業の現場やマーケティングではないムードや流行、国ごとの文化などの部分があまり着目していなかったし、悪のマーケティング、悪徳商法的な実際に消費者の多くが騙されてしまう手法などは、大企業が悪の手口を研究しているのはまずいよねという立ち位置から意図的に無視されてきた。
アンケートをとって、セグメントを分けて、ターゲットを決めて発売した商品が鳴かず飛ばずで散々みたいな経験から、マーケティング理論だけでは消費者の消費行動を予測して先回りすることはできないんじゃないかという流れがようやくでてきて、最近は「ショッパーマーケティング」という手法の研究がはじまっているという。
本の中でそういうトレンドを知れた。
また、文化、土地柄というのも脳科学で結構説明できてしまう可能性があるんだとか。
何代も続いた地理的特性からセロトニントランスポーターみたいな遺伝子が国民ごとにハード的に異なる事がわかってきた。
科学的には、アメリカ人と日本人の違いは文化の違いだけでなくハード的にも違う。
本は、鳥山さんが中野さんとの対談でインスピレーションを受けて、脳科学+マーケティングという手法がこれから進むのではないかという未来予想というか可能性をおもしろがって書かれた。
僕も読んでて、それもあり得なくはないなと思いました。
例えば顔認証技術、今はロックの開錠、本人認証ぐらいの利用法だけど、これからブラウジングしているサイトを閲覧している時の感情をカメラが表情から読み取ってそれをマーケティングに生かすという手法はあり得るかもしれない。
技術的にはもうできるんじゃないでしょうか?
どういう事に快、不快を感じるのかという研究はITを利用してもっと進むでしょうね。
脳科学の本としても面白かったです。
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