
入院中暇なので読書です。
またまた岡田さんの本です。
岡田さん世代をはじめとする、生まれた時からテレビがあったテレビっ子世代をオタク第一世代として、ガンダムやスターウォーズなどに熱狂し、レンタルビデオで好きなビデオを借りて楽しんだ世代を第二世代。
電車男以降の、既に完成度の高いアニメをネットやビデオで見放題だったり、メイド喫茶、アイドル、萌え文化を第三世代オタクとして話がすすむ。
執筆時に2006年だから、今は第四世代とか第五世代とかあるのかもしれない。
オタクが時代にどう捉えられてきたのか、オタク文化というのはどういう変遷を経ているのか。
そういう歴史に触れられる一冊。
オタクと一口にいっても、オタクカルチャーと呼ばれるすべてのジャンルを指している。アニメ、SF、漫画、映画、鉄道、ミリタリー、ゲーム、コンピューターなどなど。
これは僕のこの本の解釈だけど、要するに、オタクってなんでこんなんになっちゃったんだ?
昔のオタクは頭も良い人も多くて、本当に好きな事を探求したり作り上げたりしてたのに、今のオタクは俺の知っているオタクじゃなくて、ただただ与えられたものを消費しているだけのバカばっかり!おじさん悲しい、、、ずーっとオタクて文化は発展していくんだと期待してたのにって内容かな。
世代論になりがちで、結局は老兵の苦言みたいになるし歯切れの悪い書き方になっちゃうって断ってはいるけれど、第一世代達の熱狂を帯びたオタクカルチャーてこんなんだったんだぜって事を伝えたい想いが溢れているように感じました。
本の骨としては、昔のオタクは求道的だったけど今は消費的になっちゃった。
文化としては裾野は広がったけど、これ以上の発展はないのかもねって話。
その例に挙げられたテレビチャンピオンにでてた、声優大好き青年のエピソード。
とあるアニメの声優大好き過ぎて、彼女の事はなんでも記憶しているしグッズも沢山もってるて自慢。その気持ちは誰にも負けません!てプレゼンに対して、そんなに好きならなんで君がイベント主催しないの?
グッズにつぎ込む金で声優さん呼べるだろ。
事務所も学園祭とか大歓迎だし、一流クラスでも50万円くらいだよ。若手とか無名クラスなら6万くらいでしょ?
そうした方が声優さんも事務所もみんな喜ぶのになんで君はそうしないの?と突っ込んだらしどろもどろになっちゃった。
それが岡田さんの言うオタクがただの消費者になったて話。
似たような経緯をSFカルチャーになぞらえていた。
SF界は、ハヤカワSFをはじめ文学がその主役だったけど、途中で映像作品が多数入ってきてSFファンの裾野が広がって、スタートレックやスターウォーズを好きな程度でSFファンを自称するような人ばかりになり、求道的に活動していたSFサークルが次々廃れていった。
オタクカルチャーもそれと同様な事が起きている。
岡田さんが書いたオタク学入門は20年前の本だけど、オタクカルチャーは日本の職人文化の後継カルチャーとこの本では紹介していた。
その時は、日本文化の後継者としてオタクカルチャーがずーっと続いていくことを期待していたのかもしれない。
そうか!見渡せばあらゆる文化ってそういう黄金期みたいのがあって、成熟期と黄金期を比べた時に、成熟期が味気なくただ消費しているだけに見えちゃうっていう現象があるのかも。
黄金期に触れてる世代はそれが寂しかったり。
例えば、絵画とかも、宗教画しかなかったのが、工業化により絵の具チューブが発明されて、キャンバスに画を描けるようになって、市民の中から絵描きが生まれて凄いアートがでてかて、印象派とかキュビズムみたいな熱狂が起こったけど、写真機や印刷機、映画やアニメーションの台頭で、絵画以外の映像を楽しむ人も飛躍的に増えたけど、ピカソみたいに世界中の誰でも知っているようなスーパースターはいない程度にアート内での絵画の存在感が薄れちゃってるもんね。
そういう現象は、クラッシックやJAZZ、ロック音楽とかあらゆるカルチャーに起こっている事だろうね。
岡田さんはそういう構造は理解しつつ、でも言いたいんだって感じで書いている一冊でした。
小噺的に書いてあった、日本はロリコン天国なのか?て外国人に思われたって話が面白かったです。
少年漫画雑誌に南沙織のグラビアを載せて売り上げ部数を伸ばした実績から、各社みんな女の子のグラビアを表紙に持ってくるという作戦がとられた。
本来おまけなので、編集としては本当は前面に出したくないけれど、それで売れちゃうんだから反則ってわかってても各社その作戦に出だした。
TVもアニメもそういう風潮によっていって、うる星やつらのラムちゃんや、マクロスのミンメイ、おにゃんこクラブなんかが生まれたって話面白かったな。
別にみんなロリコンって訳でもないけど、売れるし人気でるから街中が女の子のグラビアだらけになっちゃう現象。
今やこれがフェミの人に怒られている事なのだけれど。
だから、マガジンの人も怒られて内心嬉しい思いも少しはあるのかも。
オタクカルチャーの変遷歴史部分はオタクじゃない人にも結構面白い内容だと思うので楽しく読めると思います。