凄く面白かった。
IoTて家電とかがインターネットでつながってスマホでエアコンが動かせたりアレクサの音声コマンドで制御できたりできる世界観程度の事しか思っていなかった。
本書を読んだらそれは意味が狭くて、広い意味でのIoTはもっと凄い世界だった。
IoT(Internet of Things)でモノがインターネットにつながる世界の認識でしたが、実際にはモノがネットワークを作る世界観なんですね。
おもしろいと思ったところいくつか。
中国とかは顔認証による個人識別の方向で進んでいるが、プライバシーなどに懸念がある我が国では、既に広く普及している交通系カードを個人識別に利用してはどうかと提案している。
これはなかなかいいアイデアだと思った。
仮に、交通系カードが古い技術になってもそれまで蓄積したデーターに新しい技術のものを結び付ければよい。
これは、マイナンバーよりも筋がよさそうだし、訪日の外国人も使いやすいかも。
オープンソースの話。
オープンソースというと、システム全体をオープンにする思想で誰にでもオープンというのが具合悪い場合がある。
そこで、オープンAPIという手法をもっと普及させたらいいのではないかという提案。
ロンドンオリンピックの際、ロンドン交通局はこの発想で沢山のAPIをリリースした。
そのおかげで、沢山の民間企業や、民間ボランティア、趣味のアマチュアから優れたソフトウェアが沢山作られた。
これはオープンデーターとして官庁などがグラフや表にまとめてPDFデーターとして公開されることは既に行われているが、これをAPIを公開することによって民間がグラフやアプリなどを作った方がよりスマートで良いものができるのではないかという話し。
あとは、オープンとクローズド、プライバシーに関する文化哲学の話。
日本がオープン思想に現在向いていない文化にあるという。
例えば、電力会社のIoTを例に挙げていた。
技術的には、各家電の電力情報を電力会社にUPして、災害時に電力が不足した時に命に関わる家電のみを動かしてそれ以外を停止するという処理もできる。
だけど、そいうものを受け入れる土壌が日本にはないので、そういう意識から変えてゆく教育や啓蒙が大事だと言う。
技術的な側面よりも、誰がデーターを保証して、アクセス権を誰が管理して責任を負うのかという部分で、日本人は大きな組織に品質を保証してもらいたがるし、リスクもゼロじゃなきゃいけないというのが好まれるのでここの意識を変えていかないとIoTが定着しないと語っていた。
読み進めて気が付いたが、この著者はTRONプロジェクトを立ち上げた人だった!
超有名人でした。
今のIoT的な思想を、ユビキタスという形で30年間も牽引してきた人が日本にいるという事を誇らしいと思った。
日本にジョブズは生まれないのかという意見があるんだけど、この人はジョブズレベルの人だと思う。
それを受け入れる土壌の問題なのかもしれない。
そしてTRONも脈々と現代でも生きていている事もこの本で知ったし、なんならIoTの主役になりうる思想をもったプロジェクトなんですね。
凄い!
沢山の人にこの本を読んで欲しい。
日本でもIoT、TRONを育てましょう!
Kindel Unlimitedで読めます。