歌手の峠 恵子さんによる冒険記。
冒険自体は20年前の出来事。
日記をもとに体験記を書籍化したもの。
歌手として成功をしていた峠 恵子さんが、本屋の立ち読みで出会った探検隊員募集の広告。
人生を変える冒険にするぞと藤原隊長が仕切るニューギニア探検隊に参加することが決まる。
タイトルから世界各地を歌いながら旅する話なのかと思っていたらそうではなく、ガチの川口ひろし探検隊みたいなことを、全くの冒険素人の峠さんが挑戦する話だった。
序盤は読んでいるだけで船酔いしそうな過酷なヨット航海描写。
この序盤でまず最初の脱落者、元自衛隊員という屈強な男コーちゃんは、この船酔いで完全に心が折れてそうそうに探検を離脱する。
揺れる海では冒険のエキスパートである藤原隊長ですら船酔いで体調を崩す有様。
到着した先のニューギニア探険では、現地住民をガイドに雇うも、騙されたり、協力してもらえなかったり踏んだり蹴ったり。
でもそんなトラブルも、隊長のリーダー力で統率してまとめていく描写は痺れるものがある。
言葉が通じなくても、異文化の人間とうまくやり合うのは最後はリーダー力だ。
全くの冒険素人の峠さんも、藤原隊長に叱咤激励されながら、心折れそうになる場面も何度も何度もあるのに、最後の最後までリタイアせず冒険をやり遂げた。
命がかかってるような場面も何度もあった。
冒険というプリミティブな活動は確実に人間を成長させるものだなと読んでて感じた。
巻末の解説ページを書いているのが、同じく、冒険家の高野秀行さんであった。
高野さんも若い時から過酷な冒険をくぐっている。
その高野さんが、峠さんの冒険の健闘を称えていたので、よりこの冒険の過酷さとすごさが僕には伝わった。
高野さんの大学生の時の冒険旅行を記した、幻獣ムベンベを追え。
凄く面白い本なので、ぜひ読んでください。
しかし、読んでて思ったけども、これだけの極限状態の中、男と女が冒険して恋愛関係は何もなかったのだろうかと思った。
途中からはユースケも離脱して2人きりだし。
命がけの苦難も乗り越えた2人、ここには書かれないような感情もあったかもしれないと思いながら読むと、また面白い。
ここまでは本編を読んでの感想でした。
ここまで書いた後に、エピローグを読みました。
そこには峠さんの冒険のその後が記してありました。
はっきりは書いてはいないけど、冒険の中で隊長と恋仲になったんじゃないかな。
冒険から帰った後2人は一緒に住んでたようです。
隊長はヒモ状態で!
これは邪推なんですけども、峠さんを冒険にアサインしたのも冒険中のセックスを期待する部分があったのかもしれない。
全くの素人で体力的にも非力な女性を隊員にアサインする理由てそういうところだったり、、、真相はわかりませんけど。
僕はいつも過酷な冒険の間、性処理ってどうしてるんだろうなんて事を考えるんですよね。
アポロの隊員とか、国際宇宙ステーションに滞在する野口聡一さんとか。
現実問題オナニーはしているわけでしょ?!
オナニーしなかったらホルモンバランス崩れて鬱になっちゃったりするので、性処理ってバカにできない話だと思うんです。
登山家の野口健さんもヒマラヤで少女買春?!みたいな事した話も漏れ聞こえてくるし。
エピローグの部分にユースケとの対談が載っていた。
当時学生だったユースケは後にノンフィクション作家で冒険家になる角幡唯介。
そこには隊長への尊敬の部分と2人で詐欺師呼ばわりしてダメ出しする二面性が見てとれて、本編を読んだあと種明かしを見るようで面白かった。
ここまで書いて峠さんのこんなインタビュー記事を見つけた。
「私が隊長に耐えられなくなっても我慢していたのは、最後にチャウ丸を売って、そのお金を借金返済に当てなくちゃいけなかったからです。旅の終わりで、隊長から優しい言葉をもらって感動はしましたが、恋愛関係で一緒に暮らしていたわけではないですよ。どこにも行く当てがなかった彼を引き取って、住まわせてあげたという感じ。
そうなんだ、、、恋愛関係は否定されてますね。
モラハラによる上下関係ってそういう恋愛感情生まれやすい土壌だったりするのでやっぱりそういうのはあったんじゃないかと邪推しました。
真相は本人たちのみが知るですね。
冒険後の峠さんの人生も一冊書けそうなぐらい濃い人生でした。
是非エピローグまでじっくり読んでみて下さい。