男も女も、突き詰めると、お互いのエゴを押し付け合って生きているよな。
そんな感想が漏れてしまう。
離婚しても、頻繁に連絡をしてくる元妻。
妻の不倫が原因で破局に至った、それなのになぜ?
そっけなくしても、気のない返事をしてもやはり元気?ちゃんと食べている?というなんでもない電話がかかってくる。
学生時代からの友達でプレイボーイで仕事に野心的な津田。
自分にはないものを備えているが、津田は津田で主人公、七郎の事を自分にない幸せを持っていて羨ましいよと一目置いている。
キャラクターが全然異なる七郎と津田。
七郎はオタク的で、津田はウェイなナンパガイ。
お互い見下し合いそうなものだけど、小説の中では互いにリスペクトがあり、最後はお互いがお互いの生き方に寄ってゆく。
津田は結婚しようと考えていたと七郎に告白する(おそらく、七郎の生き方への憧れもあって)。
七郎も過去やこだわりを捨てて、目の前の女性の手を取る(あーだこーだ考えずに行動する津田のように)。
離婚届けを提出するシーンは人間味のある描写で凄く良かった。
自分の不貞で至った離婚なのに、妻は役所で泣き崩れる。
妻には別れた後も、その涙を拭いてくれる相手がいるのに、泣きたいのはこっちだよという描写。
リアルです。
人間てそういうものだよね、、、それは七郎に対して済まないという涙じゃないんですよきっと。
なんでこうなっちゃったんだろうねという自分の身に対して流している涙。
その後の彼女の連絡も、ちらっと見える元旦那と繋がっていたいその理由も、極めてエゴイスティックだけど、そういう女の厭らしさがノンコーティングで描いてある。
でも、七郎はそんなことにはしっかり気が付いているのに、自分が恋愛で満たされていないときは、わかっているのに元妻の思わせに乗っかって、時には自分にも妻にやり直したい気持ちがあったんじゃないかと錯覚して動揺してみたり。
でも、新しい恋を見つけると正気に戻ってあっさりそれを捨ててしまうところが、男は男でエゴイスティック。
男も女も、相手を思うアクションをとりながらも、結局見つめているのは自分なんだというのがリアルな描写でした。
津田の女に対する考え方も、津田が通うキャバクラのキャバ嬢達の考えも、どっちもどっち。
結局、男と女、狐と狸の化かし合いなのかもしれない。
それが全てでないにしろ、そういう面があるという認識がないと、化かされて相手にせっせとお肉を貢ぎ、自分は葉っぱをムシャムシャ食べさせられて搾取されちゃう。
一番幸せなのはお互いに上手に化かし合って、最後まで魔法に気が付かず気持ちよく葉っぱをお腹いっぱい食べて死んでゆく事なのではないだろうか。
物語の殆どは七郎と津田のやり取りで、過去と現在がいったりきたりゆるふわに進むストーリーなのに、男女の内面で考えている事のチラ見せが生々しくて引き込まれます。
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